04
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その様子を見た瓜と桃は心配そうに母を見つめていた。
萌は瓜の目を見て言葉を続けた。

「瓜は強い子だよね?
 桃の事あんまり苛めたらダメだよ。
 強い子は弱い子を守らないといけないんだから…」

萌はそう言って小指を出した。

「じゃ、指きりだ!」

瓜は震える手で小指をだした。

「ゆびきりげんまん♪
 嘘ついたらハリセンボンのーます♪
 指切った。」

瓜は涙が止まらなくなり指が離れると部屋の隅に行き
座り込み声を出さずに涙を流した。

次に萌は、桃の目を見つめてこう言った。

「桃…
 桃には色々苦労をかけてしまうと思う。
 もうちょっと大きくなったとき悩みが出来ると思う
 その時は、銘ちゃんやちぃちゃんに相談してね。
 銘ちゃん、ちぃちゃん、その時はよろしくね。」

私と千春はコクリと頷き、千春は「任せてよ!」と
力強く言った。
萌は「お願いします」と言うと言葉を続けた。

「早く、お洗濯や料理を覚えてお父さんの力になってあげてね。」

「うん」

桃は涙を流さずに、じっと萌の話を真剣に聞いていた。

「じゃ、桃も指きり」

萌はそう言うと、小指を出した。
桃は静かに母の元に小指を近づけ、自分から歌を歌った。

「指きりげんまん
 嘘ついたらハリセンボンのーます
 指切った♪」

桃の指が離れると、萌は太郎の方を見てこう言った。

「萌の結婚式には、私が着たドレスを着せてあげてね。
 洋服ダンスの奥に直してあるから…」

太郎は、コクリと頷いた。

「瓜に桃!
 きちんと、お父さんの言う事聞くのよ!」

瓜と桃は涙声で返事をした。

そして、萌は、この時初めて子供の前で涙を流した。

まだ幼い瓜と桃はどこまで事情を理解できているかはわからない。
だけど、二人とも母親の話を真剣に聞いていた。

よく、子供には人の死の現場を見せるのはよくないという人が居る。
でも、この時だけは、決して悪いものではないのではないかと思った。

確かに、元気だった母親の姿を知る子供に、その母親の死を見せるのは
きつく辛いかも知れない。
だけど、この子達がやがて大人になった時、後悔しないと言い切れるだろうか。
血の分けた親子なのだ。

子は親の温もりを…
親はこの温もりを…
そして、暖かい肉声を…

最後の最後まで聞く権利位はあるはずなんだ…
そして、子は命の大事さを学んでいくのではないだろうか?
こう言う経験を得る事により

娘は母親の温もりと強さを…
息子には母親の優しさと厳しさを…

こうやって引き継ぐのではないかと…

私は、そう思えて仕方がなかった。

それから、一日が終わった。
その部屋には、彼方と銘、太郎に小太郎がその部屋に居た。
そして、そこに静かに横たわる萌。
その部屋にはその5人だけが居た。





イチゴミルク

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