何ごとも無く日が過ぎ… 何ごとも無く会社に来て… 何ごとも無く深雪を愛する… 仕事にいけば研究所。 休憩時間は、深雪が指輪を誇らしげにつけている。 俺がやってしまった事。 それは、銘を救う事が出来なかった… しかし、銘救えば深雪が死んだのだ…。 もう一度、薬を作るか…? 俺の中で、歯痒い葛藤が続いた。 「ねぇ… 最近元気ないよ?」 ベットで横たわる俺を見て、深雪は心配そうに俺の目を見つめた。 深雪の目は、不安の色で満ち溢れ、そして涙を今にも流しそうな感じだった。 「そんなこと…ない」 「嘘… 私と同棲した時… うんん、同棲する少し前から、伸二の様子がおかしいよ…」 「……」 何も言い返せなかった。 何も浮かばなかった。 出来た事と言えば、キスをして、深雪の口を塞ぐ事だけだった…。 何をしているのだろう… キスの後に言われる言葉が怖くて、いつもより長いキスをした。 そして、キスが終わり何かを言おうとした深雪に俺は、プロポーズをした。 「結婚しよう… 絶対幸せにするから…」 深雪は、何も言わずシーツをくしゃりと抱き締めながら・・・ そして、息をかみ殺しながら、泣いた。 どうしたら、いいのだろうか… 解らなかった。 抱き締めて、キスをして、そして愛し合う… それで、誤魔化す事等出来ない…。 そんな子供騙しは通じないだろう… すると深雪は、泣きながら今にも消えそうな声で言った。 「私ね… 伸二にね、謝らなければ行けない事があるの…」 聞くのが怖かった。 『他に好きな人が出来た』 『伸二の事好きになれなくなった』 言われる、あらゆる言葉を覚悟した。 「赤ちゃんで来たの…」 俺は、言葉を失った。 「あのね… 絶対伸二の子なの!私、伸二以外の人と、そう言う事をしてないし…」 俺が、混乱して黙っていると深雪は小さな声で呟いた。