俺は、全ての作業を終えた… と言っても、この時期は暇な訳で… 今年のインフルエンザの薬を開発する位しかなかった… 「深雪、手伝う事あるか…?」 深雪は、振り向くと驚いた顔で俺の方を見た。 「え?レポートは??」 俺は、得意げき、レポートを深雪に見せた。 深雪は真剣な顔で、レポートを見た後、クスリと笑った。 「ご苦労様♪」 そう言って、レポートを返してくれた。 「私も、もうすぐ終わるから… 手伝いはいいよ。 加藤さんも、終わったし、フミちゃんと西村君の二人もさっき終わったし…」 みんな、仕事が早い! と言う事は、これからクスリを実験動物に投与して、報告書を待つ事になるのか… となると、暫く暇になるな… 俺らは、成分開発の研究が主な仕事であって、薬の調合は、別の部の仕事… 確か、その部と合併した時に、銘と再開したんだったな… 俺は、とてつもなく、銘の事が気になった… 未来の俺と仲良くやってるかな… そんな、事を考えて居る内に、昼を知らせる予鈴がなった…。 「じゃ…そろそろ行くか♪」 深雪が、楽しそうに俺の腕にまとわりついた。 「今日は何処で食べる?」 と尋ねると… 「資料を届けるのが先!」 と、深雪に怒られた。 俺は、トボトボと生物管理課に向かった。 そこで、加藤さんの甥の加藤燕君に渡せば完了となる。 「すみませーん」 俺は呼び鈴を鳴らして、燕君を呼んだ。 「あいあい… 資料を持って来てくれたんですね? ありがとうございます。」 と、親父さん譲りの変わった口調で対応してくれた。 「今は、大学二年生だっけ?」 と、深雪が尋ねると、燕君は、指を一本立てて一年ですと答えた。 「では、ありがとうございました…」 と軽くお辞儀をすると、姿を消した。 「忙しかったのかな?」 と深雪が呟いた時、俺はふと思い出した… 動物管理課だから、管理する動物もご飯の時間なのか… 深雪に、それを伝えると、クスリと笑って… 「そっか… そうだよね♪」 と言った。 俺らは、そのまま食堂に向かった。 今、俺は死ぬ前の深雪と話している。 対策を考えなければいけない… プロポーズを延期する… それが一番だと思った。 そして、その前日は深雪と一晩過ごした方が良いかもしれない… 念には念を… 「私、おばちゃん!カレーチャーハンカレー抜きね!」 何やらややこしい注文を投げ掛けてる声が聞こえる。 流石にもう、慣れているらしく… 叔母ちゃんは淡々と復唱した。 「深雪ちゃんは、チャーハン一つね 伸二君はどうする?」 俺はどうしようかな… 俺は、そっと目をやり未来にはないメニューを発見した。 【深雪スペシャル】 ずっと気になっていたが、結局俺が食べるよりも前に深雪が死んだ為、 無くなってしまったメニューだ。 「深雪スペシャル」 俺は、答えた。 すると、叔母ちゃんは親指を立てて、ポーズを決めた。 なにが出て来るのだろう…