みんな死んじゃえばいいのに・・・!
俺は、そう思いある場所に薬物兵器を仕掛けた。
目には見えない。
誰かが言った。
「銃は良い。剣やナイフと違って人の死に行く感触が手に残りませんから・・・」
薬物兵器だってそうだと思う。
その部屋に居る、ある生物の死に行く姿を手に取ることなく。
実感することなく、そして見ることなく殺せる。
使い捨てにはなるものの・・・
剣やナイフに比べて安く手に入る。
俺は、全ての窓を封鎖し、そして換気を悪くした。
無脳の如く知能の低い俗物共は、何も気づかず徘徊している。
きっと彼らは、仕掛けられた事も何が起きたかも知る事もなく・・・
息絶えるのであろう・・・
俺は躊躇う事無く、スイッチを入れた。
そして、すぐにその場を離れた・・・
所詮どんなに頑張っても、彼らは【虫】の息。
この兵器の前では、息をする事もままらないだろう・・・
俺は外で食事をし、本を読み時間をつぶす。
3時間などあっと言う間に過ぎていく・・・
その場所に戻り、換気をよくする。
そう、そこは俺の城なのだ・・・
俺だけの城。
俺が認めない存在がそこに居る。
そんな事が許されるのだろうか??
だから、この殺戮も正義なんだ・・・
だから、これは正義なんだ・・・
俺は、自分にそう言い聞かせ、ベットに腰を掛けた。
先程の本の続きを読む。
数分が過ぎた頃・・・
首に違和感を感じた。
チクリとした感触・・・
俺はその部分に、パチンと手を当てた。
手には真っ赤に染まっていた。
先程の生き残りが居たのだ・・・。
俺は目の前が真っ黒になった。
みんな死ねばいいのに・・・
俺は、心の中でそう叫び。
本の続きを読んだ・・・
この薬物兵器の名を人はこう呼んだ。
――――バルサン
と。
バルサン