バルサン 2013年11月23日
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みんな死んじゃえばいいのに・・・! 
俺は、そう思いある場所に薬物兵器を仕掛けた。 
目には見えない。 
誰かが言った。 

「銃は良い。剣やナイフと違って人の死に行く感触が手に残りませんから・・・」 

薬物兵器だってそうだと思う。 
その部屋に居る、ある生物の死に行く姿を手に取ることなく。 
実感することなく、そして見ることなく殺せる。 

使い捨てにはなるものの・・・ 
剣やナイフに比べて安く手に入る。 

俺は、全ての窓を封鎖し、そして換気を悪くした。 
無脳の如く知能の低い俗物共は、何も気づかず徘徊している。 
きっと彼らは、仕掛けられた事も何が起きたかも知る事もなく・・・ 
息絶えるのであろう・・・ 

俺は躊躇う事無く、スイッチを入れた。 
そして、すぐにその場を離れた・・・ 

所詮どんなに頑張っても、彼らは【虫】の息。 
この兵器の前では、息をする事もままらないだろう・・・ 

俺は外で食事をし、本を読み時間をつぶす。 
3時間などあっと言う間に過ぎていく・・・ 

その場所に戻り、換気をよくする。 
そう、そこは俺の城なのだ・・・ 
俺だけの城。 
俺が認めない存在がそこに居る。 
そんな事が許されるのだろうか?? 
だから、この殺戮も正義なんだ・・・ 
だから、これは正義なんだ・・・ 

俺は、自分にそう言い聞かせ、ベットに腰を掛けた。 
先程の本の続きを読む。 

数分が過ぎた頃・・・ 
首に違和感を感じた。 
チクリとした感触・・・ 
俺はその部分に、パチンと手を当てた。 
手には真っ赤に染まっていた。 

先程の生き残りが居たのだ・・・。 
俺は目の前が真っ黒になった。 

みんな死ねばいいのに・・・ 

俺は、心の中でそう叫び。 
本の続きを読んだ・・・ 

この薬物兵器の名を人はこう呼んだ。 

――――バルサン 

と。 




バルサン